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自分は、ある時の自己紹介で「若いころに少年鑑別所に入って、それから少年院へ行って、その後、刑務所へ行った」と言ったことがあった。
要は職員としていただけなのだが、その一番大事な部分を言わずに済ませた。
正しい情報を伝えておらず、非常に悪質な行為だったが、自分は密かに、「それでも受け入れてもらえるだろう」と思っていた。
そのときの自分の立場は、あくまでも更生したことが認められている立場だったから。
その結果、しばらく「罪を犯してそういうところにいた人」として知られ、そういうところを出た人が、社会でどんな扱いを受けるかを体験してしまった。
そして、自分はその体験に耐え切れず、大慌てで誤解を解くのに奔走、すごく苦労した。
必ず解けるはずの誤解だったのに、まったく耐え切れなかった。
単に自業自得なのだが、こんな特殊な体験ができたことは貴重な経験だったと思う。
誤解させてしまった人たちには申し訳ないが。 HP「職場で見送った人たち」参照)
そして、この話を刑務所で働いてた時にすごく仲よくしてくれた読書好きの先輩に話した。
その時「東野圭吾の「手紙」は、いつか読んだほうがいいかもね」と言われていた。
そして、ここスリランカで、偶然、見つけた。
そして、ついに読んだ。
東野圭吾「手紙」
手紙 (文春文庫)手紙 (文春文庫)
(2006/10)
東野 圭吾

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生まれて初めて、文庫本1冊を徹夜で一気に読んだ。
東野圭吾の本は、今までにも少し読んでいる。
「宿命」「変身」「天空の蜂」「白夜行」「秘密」
どれもすごくおもしろかった。
読書嫌いな人に勧めるなら、自分は間違いなく東野圭吾を勧める。(一番好きな作家ではないが)
結構ややこしい設定だったりするのに、非常にテンポよくわかりやすく話が進む。
そのわりに、ちょっとびっくりする結末が用意されていたりするので、誰が読んでもおもしろいと思う。

ただ、この「手紙」だけは、自分にとって、今までとはちょっとおもしろさの意味が違った。
自分の人生の中で経験してきたことと、ものすごく似通ったこと、自分が物語とはちょっと違った側面から知っていることが、いくつも出てきたのだ。
まるで、自分の人生を、自分以外の視点から見ているみたいだった。
家族から何度も届く手紙。
主人公に来る手紙は、自分がかつていた職場に限りなく近い状況から出されてくる。
自分はその差出人に近い人たちと一緒に十数年を過ごし、犯罪の加害者の立場から、被害者を考える人を見る機会がたくさんあった。
主人公が、加害者の家族として差別を受ける、と言うのは、自分が悪質な自己紹介をして受けた扱いとかぶる気がしてしかたなかった。
その上、大学にはちょっと変わった形で入学、その後編入し卒業、というのは自分とすごく似ている。
刑務所に慰問に来てくれる人の話が出てくるのだが、その窓口になる仕事は前述の先輩がやっていたので、自分はその一部始終を見てきた。

この本を、犯罪の加害者の人に読ませるべきかどうか、自分には分からない。
ただ、これはロングセラーとして世に知られ、映画にもなっているので、隠すことはできない。
自分がかつていた職場では、こういう内容はすごくデリケートな問題として処理されてきたし、それはすごく大切なことだと思う。
あくまでも小説の中の話なのだが、自分には限りなくリアリティのある話だと思える。
物語の中で描かれる世界は、加害者にとって、決して甘いものではない。
できれば、読むべき人には、いつか自然な形で、この本と出会ってほしい。
ただ、読むべき立場になってから読んだのでは、実は遅い。
罪を犯すと言うことが、どれだけの人に、どんな影響を及ぼすのか。
そういったことを知る意味では、できるだけたくさんの子ども、大人に、できるだけ早く読んでもらいたい本であることは確かである。
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