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2008.08.31 甘くない
自分がスリランカでバレーを教えるに当たり、心の準備をしてきたことが少々ある。
「時間に厳しくしない」
「練習を強要しない」
「予想外のことにあわてない」
といったところ。

いろんな人の話を聞いて、「時間や約束にルーズ」ということは共通していた。
あきらめるわけではないが、それはじっくり様子を見てから取り組もうと思っていた。
勤勉さやまじめさの基準というのは、国によって極端に異なっているのだ。
今までに訪れたほんのわずかな外国で、いいだけ思い知らされてきた。
初めて訪れる国ならなおさら、自分の国の常識を持ち込むことで、ストレスは大きいだろう。
ストレスを感じる基準を、自分なりにコントロールすることで、前向きな気持ちを持続できるような気がしていたのだ。

一応、事前の心の準備が功を奏してか、毎日前向きに取り組むことができている。
練習を休む子、遅れてくる子、なかなかはじめない子、いろいろいる。
前日まで日程のはっきりしない大会があったりもする。
確認はあまり意味がない。
今そこにある現実をどう受け入れるかが、何よりも大事なのだ。
ただし、その中で、バレーに関しては自分なりにプランを考え、大会へ向けて調整してきたつもりだった。

ポジションごとの役割に応じて、移動すること・・・
「レフトのアタッカーはいつもレフト側に行く。ライトなら反対」
「セッター・セッターの対角の人はセンター」
かなりの時間をかけ、練習ではなんとかなるようになっていた。

先週月曜日、突然「来週月曜に大会あるみたい」と子どもが情報を仕入れてきたので、カウンターパート(相棒)のスニルさんに確認してもらった。
「来週火曜日にあるそうだ。月曜は男子だって」
ふむ・・・それはポジションの移動がちゃんとできるか、確認するには絶好の機会になる。
マイナーな大会なので、初試合で負けたような歯が立たないチームはこないというが、それはそれで好都合。
家庭の事情で、しばらく練習に来れなかったセッターも来るという。
ポジションの移動に手ごたえを感じていた自分も子どもたちも、非常に楽しみにしていた。

土曜になって、子どもたちが「やっぱり月曜みたいだよ」と言い出した。
一応、スニルさんに再度確認をお願いする。
先方からの連絡待ちということになり、土曜は解散。
日曜の練習終了時にも先方と連絡がつかず、「今日(日曜)夜連絡来るだろうから、連絡するよ」
スニルさんはきちんとした人なので、自分と一緒にスリランカ人のルーズさにいつも苦笑いしている。
結局、日曜夜に月曜に試合があることが確定。

翌朝、集合すると子どもの間で情報がうまく伝わっておらず、試合用の靴を持ってきていない子がたくさん。
携帯なんか持ってないから、連絡がうまくいくとは思ってなかったから、気にしないことに。
多少ドタバタしたが、なにはともあれ、試合に行けるのだ。

会場に着いてみると、参加チームは3チーム。
自分たちが2チーム出るので、あとは1チーム。
少々みんなガッカリだったが、まあ、審判のジャッジのもと、フォーメーションの確認はできるので、自分的にはよしとすることに。

どういう組み合わせをしたのか分からないが、1試合目でいきなり自分たち同士で対戦することに。
リーグ戦にできないか?と頼むと「時間ないから・・・」
1試合増えたらどれだけ遅くなるんだよ・・・

なにはともあれ、試合開始。
主力の方はなんとかうまくやるだろうと思っていたのだが、期待は大きく裏切られた。
まったく練習どおりにできないのだ。
1周目からいきなりフォーメーション崩壊・・・
ポジション間違ってるのに、審判は全然気づかないで試合続行。
おかげで、いつの間にか変な場所にいて、いつの間にか元に戻ったりしていた。
とても試合と呼べる代物ではなかった。
そんなに甘くはなかったのだ。

主力が勝つ形で終わったが、まったくうまくできないことで、選手は意気消沈。
当然自分も、心の中ではショックに打ちのめされていた。
「あんなに練習したのにどうした?」
子どもたちは無言でうつむいている。
勝ってもまったく喜んでいない子どもたち。
ん?ちょっと待てよ?
ふがいない戦いぶりで負けたのに、2位だったことをよろこんではしゃいでいた初試合に比べれば、ひょっとしたらこれは格段の進歩なんじゃないか?
ここはなんとかそういう手ごたえを感じさせてやらねば。
「毎回きちんと自分がチェックしないとダメかな?」
やさしく聞いてみたら・・・
「まだ覚え切れてないみたいだから、毎回チェックしながらやってほしい」
と切実に訴えてきた。
なるほど。
フォーメーションの必要性に気づいたのか、試合のために練習したことができないという問題に気づいたのか、どっちでもいいが、とにかくふがいなく感じていて、やる気はある。

2試合目の相手は、全員スカート着用。
1回でガンガン返してきた。
スパイク打つ気なし、というか不可能。
これはかえって好都合だった。
逐一大声で指示しながらだったが、今度は多少はうまく回ることができるようになっていた。

圧勝で終わったがと、子どもたちは自分たちのできなさにかなりショックを受けていた。
でも、自分としては、子どもたちは自分たちのやりたいことは理解していたわけだし、ほんの少しだが、経験を積んで前へ進んだ気もする。
1試合目で負けた子たちも、応援したり、指示したり、いろいろ手伝っていた。
プラスの要素はたくさんあるのだ。
このまま暗い雰囲気で終わる必要はない。
最後のミーティングを前に、いたたまれなくなって「早く一緒に食事に行こう」とやさしく言ってくれたスニルさんをさえぎり、一人一人、良かったこと、がんばったことを自分が名指しで褒め、全員で拍手。
一人、また一人と褒めるにつれ、少しずつ笑顔も見られ始め、最後には明るく「また明日からがんばろう!フォーメーション、きちんと覚えるぞ!」と終わることができた。

食事を終え、バス停へ向かって歩いているとき、スニルさんに聞いてみた。
「変なシンハラ語で、ずっと大声で指示し続ける自分がいて、みんな恥ずかしかったんじゃないか?自分の話し方を真似して、冷やかしている奴らもいたし・・・」
スニルさんは自分を見つめ、ゆっくり言った。
「ああしてくれるあなたがいて、わたしたちは幸せだ」

まだまだ時間はかかりそうだし、このままでは「ALL ISLAND TOURNAMENT」で早々に敗退しかねない。
でも、文化や常識で壁にぶつかっているわけではないのだ。
チームは少し前に進んだ。
そのスピードにストレスを感じている場合ではない。
残された時間、どれだけ前へ進めるか。
結果は後からついてくる。
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